崩壊へのX
2023
この鼓動はフィクションである。しかし
舞台上では血が止め処なく流れていた
まっくらなトンネルをひとりで潜る
灰色の月の下、抜け出せない輪が
落ちたよ、底には音が届かない
なんにもないから、おやすみ
世界からきえたきみのせい
だれもいないまっしろけ
大事なものの魂の行方
どこかの夜長
2022
ハイウェイにおける何千マイルの旅
ときどきすべてのパンが消滅する
スパゲティを茹でるに最適な日
カンガルー達のスタンピード
オムニバスに乗ったあの子
空っぽの象工場について
夢十夜
2021
「夢解析と探偵たちの夢」
100人のシャーロック探偵団詐欺師達は豚とUFOに乗って
ぼくにはわかんないことばかり
「料理と最果ての夢」
お鍋のふねで果てのくにまでじゃがいも頭は見知らぬかお
プティングならば晩餐までに
メインディッシュは夢見る獣
それではディナーはこれにて
鏡の中の夜長
2020
くらく痛い
この音いないよ今日も
もう良き宵ない十の子
いたい苦楽
絆はたべた
おめめとおくち
朽ちく乙女
芽を食べた花好き
夜逃げ
2019
あ 貴方の劣等を愛と名付ける
き 機械仕掛けの幽界にも似た
の 農夫が書いた花のバラード
よ 夜の海でねむりをかぞえて
に 偽のお月さまの生きもの達
げ 現実は夢幻でもありません
カクテルパーティ
2018
闇にとろかす銀色リキュール
マザーとグースとお嬢さん
おこのみで太宰をひと匙
劇場とはなみだの海です
猫町で食べたいパンケーキ
月長石の枕で眠る鉱石ラヂオ
秘密探偵奇譚
帝都の亡霊
眼球恐怖症
憂ひ國の死
盂蘭盆にて
葬列の一人
赤い柩と金魚
怪人は夜歩く
夜長文庫
2017
禍つ泥
よるの生き物図鑑
人間やめました
夢をみる鯨
宝石みたいな鱗のひと
神はなくとも火は灯る
愛も心臓もまがい物
ナイトフライトに重力はいらない
微分学と君の落下速度
擬態する星座をコラージュして
仮想死を弔う
ベガの申し子
星と夢はどちらが重いか
迷い子の夜が泣いている
仮面舞踏会
2016
眼はにせもの
星追い人とプラネット劇場
夢うつつのあなた
どこまでもゆうれいのきみ
月明かりのぼくの正体は秘密にしてね
あばら屋の存在証明
偽りすらも愛して
閃光するクドリャフカ・フロップニク
星の恋人たち
よごれた酸素
祈りの三角形
痕かたもなく
あやふや幽霊
乱痴気新時代
まぼろしの秋
2015
Hello,Colour
黄金色の不思議の国
星巡りのペガスス
わたしの名を呼んで(あなたの声で)
嘆きの喜劇
恋のサイハテ
あらゆるヴィナスの輝き
恋人たちのお皿とスプーン
この愛は渇き切ってしまって、もはや感情も考察もない
秋の夜長に100題作る会
2014
ねむりのまえにかみさまにおしえてもらったこと(それは宇宙大のさびしさ)